津波が来た時、オンライン カジノ 無料 チップ
- サステナビリティ
- 保険・リスク関連インサイト
-
※この記事はオンライン カジノ 無料 チップ研究所が発行する「SENSOR」を転載したものです。
2024年8月8日に発生した日向灘を震源とする地震を受けて発表された南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)は、2024年8月15日に終了となりました。今後は、大規模地震発生の可能性がなくなったわけではないことに留意しつつ、地震の発生に注意しながら通常の生活を送ることになります。今回は、南海トラフ地震発生時の津波避難に着目し、人的被害を軽減するために役立つと考えられる、東日本大震災の教訓や、三陸地方に伝わるオンライン カジノ 無料 チップをご紹介します。
危機感が迅速な避難を妨げる?
南海トラフ地震で大きな被害が見込まれる地域は非常に広く(図-1)、沿岸部では津波による被害が危惧されています。津波から命を守るためには、地震発生後すぐに避難を開始することが重要です。その効果は非常に大きく、内閣府が公表する被害想定によれば、地震発生後すぐに避難を開始した場合、津波による死者数が160,000人から70,000人に減少します*1。
しかし、津波に限らず自然災害時の迅速な避難は容易ではありません。大規模な自然災害の発生後に避難行動の問題点がよく話題になることからもわかります。このような時、「避難しないのは、危機感がないからだ」と決めつけてしまうことはないでしょうか。もちろん、危機感は避難を促進しますが、危機感さえ有していれば住民は避難するのでしょうか。東日本大震災の事例が参考になります。内閣府が震災後に住民の避難行動を調査した結果*2によれば、地震後すぐに避難を開始しなかった理由として、「家族の安否を確認していたから」「家族を探しにいったり、迎えにいったりしたから」という回答が非常に多くありました。東日本大震災時、すぐに避難しなかった住民は、危機感がなかったからではなく、危機感があったからこそ、家族を心配し、安否の確認をしたり、直接迎えに行ったりしていたのだという指摘*3もあります。私たちは、大規模な災害に遭遇すると、まず家族を心配するのです。このこと自体は当然と言えますが、悲しいことに、津波避難ではこれが命取りになってしまうのです。
三陸地方に伝わるオンライン カジノ 無料 チップとは
それでは、津波から迅速に避難するためにはどうすればよいのでしょうか。この問題については、三陸地方に伝わる言い伝えであるオンライン カジノ 無料 チップが参考になります。意味するところは、「津波の時は、親でも子でも人のことなど構わず、銘々ばらばらに一時も早く逃げなさい*4」というものです。各自がまずは自分の命を守る行動をとることで、結果として多くの命が救えるのです。この教えに従えば、地震発生時に家族が離れた場所にいても、家族を迎えに行って共倒れになるという最悪の事態を防ぐことができます。しかし、オンライン カジノ 無料 チップには批判も多いようです。主な理由は、利己的で薄情すぎるというものであり、「自分だけが助かればよい」という教えだと誤解されてしまうのですが、もちろんそうではありません。家族や周囲の人々と共に助かろうというのが、本来のコンセプトです。オンライン カジノ 無料 チップに関する研究*5によれば、自分がまず逃げることは、その姿を見た周囲の人々の避難を促進する効果があるとされています。避難行動についてのこれまでの研究からも、人間は避難している他の人に触発されて避難する傾向があることがわかっています。自分が逃げることは、他人の避難を促し、ひいては命を救うことにつながるのです。本稿では詳しくは触れませんがオンライン カジノ 無料 チップには、自分の命は自分で守るという自助原則の強調や、生存者の自責感の低減などの重要な意味があり*5、真の意味を理解することで、オンライン カジノ 無料 チップに賛同する人が大きく増加するという研究成果*6もあります。
オンライン カジノ 無料 チップを実践するために重要なこと
それでは、津波避難時にオンライン カジノ 無料 チップを実践するためには何が重要なのでしょうか。オンライン カジノ 無料 チップの重要性を頭では理解していても、いざ地震が発生した時に離れた場所にいる家族を置いて逃げるのは容易ではありません。ここでは、本稿の主な読者と想定される大人(親)目線で考えてみます。8年間にわたる防災教育が奏功し、東日本大震災時に小中学生の津波避難を成功させた「釜石の奇跡」で知られる群馬大学の片田教授(当時)は、家族間の信頼関係が重要であることを著書*7の中で説いています。「うちの子は絶対に逃げているはずだ」という信頼があれば、とにかく自分も逃げて、後で必ず迎えに行こう、という気持ちになれるはずだということです。では、どのようにして家族間の信頼関係を構築するのでしょうか。少し長くなりますが、参考として片田教授の著書の一部を引用します。
(防災教育の現場で)・・・そこで私は不安そうな子どもたちにこう語りかけます。「今日、家に帰ったら、お父さんとお母さんに『僕は絶対に避難するから、お父さん、お母さんも必ず避難してね』と伝えなさい。お父さんやお母さんは、君たちが逃げることを信用してくれないと、迎えに来てしまう。だから『僕は絶対に逃げるから』と、信じてもらうまで言うんだよ」そう言って、子どもたちを帰したわけです。そして、お母さんたちにこう伝えました。「お子さんたちは、家に帰ったら、一生懸命『僕は逃げるから』と言ってくると思います。その背景はどういうことかを説明します。子どもたちは、お母さんの命を心配しています。自分は逃げるつもりだけど、お母さんは僕のことを迎えにきてしまう。そうすると、お母さんはどうなってしまうだろう。そこに思いが及んでいるのです。だから、茶化さないで、ちゃんと正面を向いて、子どもたちと向かい合って、話をきいてやってください。そして『絶対にこの子は逃げる』という確信がもてるまで、子どもの話をきいてやってほしい。確信がもてたら、『わかった。ちゃんと逃げるんだよ』というひと言を言ってあげてほしい。それともう一つ。『じゃあ、お母さんも逃げるからね。後で必ず迎えに行くからね』という言葉もかけてください」これだけのことを、お母さん方に言ったのです。
オンライン カジノ 無料 チップをどう生かすか
オンライン カジノ 無料 チップはもちろん万能ではなく、例えば、自力での避難が困難な要支援者を助けることはできません。オンライン カジノ 無料 チップは、常に、矛盾・葛藤・対立がつきまとう津波避難を象徴する言葉*5であり、何度も津波に遭い、一家全滅という悲しい経験を繰り返してきた三陸地方の人々が、苦渋の末に辿り着いた「哀しい教え*4」なのです。家族内で津波避難について話し合うことで、オンライン カジノ 無料 チップが実行される可能性が高まることを示した研究成果*8もあります。南海トラフ地震の脅威を再認識した現在、たとえ万能でなくても、オンライン カジノ 無料 チップは、津波避難を考えるうえで示唆を与えてくれるのではないでしょうか。
執筆者コメント
津波から命を守るには、地震発生後に急いで高台に逃げる必要があります。しかし、避難行動には様々な阻害要因があり、実際にはそう簡単ではありません。漠然と「防災意識を高める」だけでは実際の行動に移せないのです。今回ご紹介したオンライン カジノ 無料 チップは古い言い伝えですが、実は人間の行動や心理の特性にかなっています。避難行動は防災研究の分野で盛んに研究されていますが、オンライン カジノ 無料 チップにはこうした研究からわかってきている、人々に避難行動をとらせるためのエッセンスが既に含まれているのです。自分や大切な人の命を守るため、また啓発者の立場で防災対策をリードする方のお役に立てればと考え、この言い伝えをご紹介いたしました。
オンライン カジノ 無料 チップ研究所 主任研究員 加藤大輔
-
*1内閣府政策統括官(防災担当):南海トラフ巨大地震の被害想定について(建物被害・人的被害),2019.「陸側ケース」「津波ケース①」「冬・ 深夜」の津波による死者数を比較。
-
*2中央防災会議:東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会第 7 回会合(資料 1:平成 23 年東日本大震災における 避難行動等に関する面接調査(住民)分析結果),2011.
-
*3関谷直也:災害情報 東日本大震災からの教訓,東京大学出版会,2021.
-
*4山下文男:津波てんでんこー近代日本の津波史,新日本出版社,2008.
-
*5矢守克也:オンライン カジノ 無料 チップの 4 つの意味,自然災害科学,2012.
-
*6及川康:オンライン カジノ 無料 チップの誤解と理解,土木学会論文集 F6(安全問題),2017.
-
*7片田敏孝:人が死なない防災,集英社,2020.
-
*8金井昌信・上道葵・片田敏孝:児童生徒とその保護者を対象とした“津波てんでんこ”の促進・阻害要因の検討,災害情報,2016