2024年度第2四半期決算電話会議

質疑応答要旨

Q1CREローンの決算影響に関して、オフィスセクターのLoan to Value別の貸出残高と、9月末想定の引当率をそれぞれ教えて欲しい。また、米銀や他社と比較して引当のタイミングが遅い気がするが、なぜこのタイミングで損失を認識することになったのか。
A1

LTV別の貸出残高はデータがお示しできないが、24年末の引当率(見込み)は、全体では10.4%、オフィスでは16.5%。CREローン残高は.5BNで、うち3割がオフィスである。オフィスのうち、元利払いに懸念のある案件の引当率は平均約40%。その分布は、引当率20%台が約20%、同30%台が約25%、同40%台が約35%、同50%超が約20%となる。
米銀や他社と引当のタイミングが異なるのは、ポートフォリオの特性や、会計基準の違い等によるものと理解している。長引く市況の悪化により、借り手に想定以上のプレッシャーがかかり続けている状況等を踏まえ、従来はビジネスプラン遂行によるバリューアップ等を見込んだベースでCECLを認識していたところ、今般は、市況回復やビジネスプランの進捗等を織り込まないなど、業界プラクティス対比保守的な見積もりでCECL引当を見込んだもの。
なお、会計士との協議で、24年度中の計上が認められない部分が出る場合には、その分は、25年度に繰り越してキャピタル損失として認識する予定。

Q2自動車の通期でのEI損害率について。自然災害を除くと、年初予想をほぼ見直さない見通しということか。
A2

自動車の、除く自然災害での損害率について、修正予想は、年初予想対比で若干の悪化を想定しているが、概ね5月IRで開示した年初の見通しの通り。
事故頻度・保険金単価ともに若干の悪化を見込むものの、事故頻度はリベンジドライブが頭打ちとなり対前年▲4%、単価はインフレ影響等で+4%上昇、という年初見通しを今回大きく変えていない。

Q3ID&E社に対するTOBについて、修正利益の上乗せ効果、保険ビジネスとのシナジー、ESRへの影響を教えてほしい。
A3

ID&E社のM&Aは、当社が、防災コンソーシアムCOREにおける各社との協業を通じて、当社自身の保有能力も同時に高めていく必要性に照らし、ID&E社が持つ社会の強靭化に直結する工学技術をカジノ と はCapabilityとして獲得・展開することに、大きな戦略的意義を見出したもの。
またシナジーについては、当社が防災に関連する保険の事前・事後領域に取り組むにあたり、かねてからの課題であるソリューション開発能力をID&E社から得ることで、相互補完的なバリュープロポジションを創出することを企図している。
ESRへの影響について、同社の9月末の純資産は840億円弱、PBRが1.17倍であり、のれんは限定的。またコンサルティング会社という資本負荷の低い事業がメインであるため、カジノ と はESR全体に与える影響も限定的。

Q4
CREローンについて、これまで米国市場での懸念が持たれていながらも、DFGの特殊性から影響は限定的と説明してきた状況と、今回の保守的なスタンスとの違いは何か。背景を含めて教えてほしい。
A4

当社CREローンは、スポンサーのビジネスプラン実行によりバリューアップする想定で投資をしているが、スポンサーの中に、資金繰りが行き詰まり、破綻やビジネスプランの継続が困難になっている事例が出てきている足元の状況踏まえ、今回の見直しでは、スポンサーによるバリューアップやビジネスプランの実行を見込まない保守的な前提を置いて引当を見込んだことが、今までとの違いである。

Q5海外事業のリスクの見通しについて、保険引受・資産運用それぞれの側面から教えて欲しい。
A5

保険引受では、米国を中心としたソーシャルインフレーションの影響が考えられる。COVID-19に伴う裁判所の閉鎖の影響等により一時的に鎮静化していたものの、裁判所の再開以降、特に米国では巨額の陪審員評決も増加してきており、十分に動向を注視する必要がある。引き続き、リスクセレクション、レートアップなどの引受対策に加え、適切なリザーブ設定等の対策を行っていく。

資産運用について、CREローンでは、今年度末までの累計で$1.2BNの損失を見込んでいるが、それ以外のアセットについて、CREローンと同規模のロス発生が見込まれるものは、現時点ではないと考えている。

Q6米国事業の見通しについて、直近も航空機リース業界と保険会社との裁判外での和解が進むなど、保険引受面でのダウンサイドリスクが懸念されるが、例えばリザーブの積み不足など、米国事業の見通しに変化はないか。
A6

リザーブについて、足元で大きな懸念は認識していない。
引受のレート環境という点においては、Propertyはレートアップが緩やかになってきている。Casualtyは賠責など一般種目におけるレートアップが継続している一方、D&Oや労災、Financial Linesなど一部の種目ではレートダウンの基調にある。こうしたレート環境の変化には引き続き注視が必要と考えているが、カジノ と は会社では計画を上回る水準のレートアップを実行できている。

Q7ID&E社買収により、5月のIR説明会で掲げている「防災・減災」領域のターゲット市場においてプレゼンスが上がるものと考えて良いか。ID&E社は、防災・減災のみに特化した会社でもないように思うが、シナジーも含めて買収の背景を教えてほしい。
A7

ID&E社とは防災コンソーシアムCOREにおける協業も通じて、同社が有する防災関連の技術・視点は間違いなく高い価値を持ち、それを保険の事前・事後に組み込んだ形で付加価値を提供できることは確認済み。これによって当社が防災・減災領域に取り組む能力は、飛躍的に高まっていく。また同社の得意領域を、カジノ と は営業基盤を用いて拡張することで、より大きな市場・顧客基盤にアクセスが可能になり、この両面において、+αの付加価値を創出していきたい。

Q8政策株式売却の状況・見通しについて。3年間で半減、6年間でゼロにする方針に変更はあるか。また今年度は、従来計画対比で上方修正されているが、個別要因なのか、全体計画が6年かからずに前倒しできる見通しがあるのかといった感触も知りたい。
A8

現時点で簿価ベースも含め売却の進捗は順調であるが、中期計画で掲げた2026年に半減させるというマイルストーンは、現時点では維持。その上で発行体企業との交渉を通じて、加速できるものは加速していきたい。今回、年間6,000億円の売却計画に対し、7,500億円に上方修正しているのは、年初時点ではまだ協議中だった先と売却合意に至ったものや、株価の状況等も踏まえたもの。

Q9ID&E社とのシナジーについて。同社は公共事業依存の事業構造で収益が1~3月に偏る理解だが、カジノ と は連結決算のボラティリティーを増やす要因にはならないか。
A9

建設コンサルティングの収益特性として、冬にウェイトが高い点は認識をしているが、同社は過去20年にわたり長期的に収益を漸増させながら、成長を遂げている。また、保険引受の収益特性と比較しても、ID&E社の事業はコンサルティングでのフィー収入が中心のため、ボラティリティーが低く安定的な収益源となる。

防災・減災以外の領域においても、同社の都市空間事業はカジノ と はモビリティー事業(スマートモビリティ社)と、また同社のエネルギー事業は、カジノ と は脱炭素事業とそれぞれシナジーが考えられる。多くの側面から、ID&E社の技術力が、保険の事前・事後領域をカバーすることによって、これまでにない一気通貫のサービスを提供し、日本社会において意義あるインパクトの大きな新事業として構築・成長させていきたい。

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